どんなドラマか
王が病に倒れたといううわさが流れながら、誰もその姿を見ることができない朝鮮から物語は始まります。権力を握る勢力に押されて危うい立場に置かれた世子は、真実を確かめるため自ら旅に出て、その道中で、死んだ人がよみがえって生きた人を襲う正体不明の疫病に出くわします。見た目はゾンビものですが、この作品が本当に掘り下げているのは飢えと権力欲です。上で繰り広げられる権力争いが、下にいる民にどんな災いとなって広がるのかを、ホラーの形で見せる政治劇だと言えます。
朝鮮王朝の権力争いと、死者がよみがえる疫病を組み合わせたネットフリックスの時代劇シリーズです。ホラーと政治劇がかみ合う面白さの味わい方をまとめました。
王が病に倒れたといううわさが流れながら、誰もその姿を見ることができない朝鮮から物語は始まります。権力を握る勢力に押されて危うい立場に置かれた世子は、真実を確かめるため自ら旅に出て、その道中で、死んだ人がよみがえって生きた人を襲う正体不明の疫病に出くわします。見た目はゾンビものですが、この作品が本当に掘り下げているのは飢えと権力欲です。上で繰り広げられる権力争いが、下にいる民にどんな災いとなって広がるのかを、ホラーの形で見せる政治劇だと言えます。
脚本は『シグナル』を書いたキム・ウニ。緻密な手がかりの配置と社会への鋭いまなざしで知られる脚本家が、初めて時代劇とホラーを同時に手がけました。演出は映画『最後まで行く』『トンネル 闇に鎖された男』のキム・ソンフン監督で、シーズン2にはパク・インジェ監督も加わりました。チュ・ジフンが世子を、ペ・ドゥナが疫病の手がかりを追う医女を、リュ・スンリョンが朝廷の実権を握る人物を演じます。その後2021年には、疫病の起源を描いた特別編『キングダム:アシンの物語』が配信され、世界観が広がりました。
この作品で疫病が広がっていくのは偶然ではなく、人の決断がきっかけです。食べるものがない民、彼らから目をそむける役人、自分の地位を守ろうとする権力者の選択が次々に重なり、災いが大きくなっていきます。そのため場面ごとに、怪物より人間のほうが恐ろしく感じられる瞬間が訪れます。ホラー場面そのものを楽しむのもよいですが、この災いが誰のどんな決断から始まったのかをたどりながら観ると、物語がぐっと引き締まって見えてきます。身分によって同じ危険がどれほど違う形で降りかかるのかにも注目してみてください。
広い山や野原、雪に覆われた峠、宮殿の奥深い殿閣が、手間をかけた映像でとらえられています。時代劇ならではの静かな美しさと、ホラーの切迫した動きが一つの画面の中でぶつかり合うところが、この作品ならではの見どころです。とくに笠や道袍、官服といった衣装は、海外の視聴者にも強い印象を残しました。季節や地域が変わるたびに画面の色合いも変わるので、物語がどこへ移っていくのかを風景で追ってみるのも楽しいものです。夜と昼がホラーの決まりごととどう結びついているかにも注目です。
一話は短くありませんが無駄が少ないので、次の点を意識すると場面同士のつながりがよく見えてきます。
ホラー場面の合間には、朝廷の権力争いがぎっしりと詰め込まれています。誰が王位を継ぐかをめぐる一族同士の思惑、大義と実利の間で揺れる臣下たち、うわさを利用する人々が次々に登場します。この部分を退屈に感じる人もいますが、実は疫病の流れと政治の流れが互いを後押しする構造になっています。人物の名前や役職は最初なじみにくいかもしれないので、誰が誰の味方なのかだけでも頭の中で整理しておくと、ずっと追いやすくなります。
かみつきや遺体の損壊といった残酷な場面が多く、流血描写の度合いも高めです。ホラーが苦手な人は、夜に一人で観るより、誰かと一緒に観るか明るい時間に観るほうがよいでしょう。シーズン1は大きな緊張を残したまま次のシーズンへ続く形で終わるので、シーズン2をすぐに続けて観られるときに始めるのがおすすめです。特別編は本編を先に観てからのほうが理解しやすいでしょう。各シーズンの話数が少なく、一日二日で一気に観られる分量であることも覚えておくとよいと思います。
ホラーと時代劇のどちらか一方だけが好きな人でも、楽しめる余地の大きい作品です。ゾンビもの好きなら朝鮮という見慣れない舞台の新鮮さを、時代劇好きなら権力争いにホラーが加わった新しい緊張感を味わえます。同じ脚本家の『シグナル』のように、手がかりを追ってパズルを組み立てる物語が好きだった人には特によく合います。話数が少なく展開も速いので、長いドラマが負担に感じる人にもおすすめできます。観終わったら、同じ時代を扱ったほかの時代劇に進んでみるのもよいでしょう。
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